壺齋散人の美術批評
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フランス喜劇の恋:ヴァトーのロココ世界




「フランス喜劇の恋( L'amour au Théâtre Français)」は、ヴァトーの数多くの演劇趣味のうちの一作。舞台上と思しき場所に、劇団の一座が集合した場面。よく数えていると、劇団員は16人いて、それらが半円状に並んでいる。その中心にいるのは、画面やや左手に立っている女性。彼女の視線の先には色男がおり、彼女とその色男のやりとりを、まわりのものらが見ているという構図である。

ヴァトーが芝居役者を好んで描くようになったのは、師匠であるジローの影響だったといわれる。ジロー自身が描いた芝居役者の絵は、ほとんど注目されることはなかった。

(1719年 カンバスに油彩 37×48㎝ ベルリン、国立美術館)



こちらは、「イタリア喜劇の恋」と題した作品、「フランス喜劇の恋」と一対をなすものとされている。おろらくジルと呼ばれた千両役者を中心にして、劇団のメンバーがポーズをとっている。ジルは、「ピエロ」のモデルとほとんど同じポーズをとっている。同じデッサンを使ったからだろう。

左下端には、二人の子供の描かれている。劇団には当然、子役もいたはずだ。

(1719年 カンバスに油彩 63.8×76.2㎝ ワシントン、ナショナル・ギャラリー)



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