壺齋散人の美術批評
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昼食:ブーシェのロココ世界




ブーシェは、神話や伝説に題材をとった優雅でかつ壮大な作品が得意だったが、同時代の風俗を描いた作品もある。「昼食(Le déjeuner)」と題されたこの作品は、かれの風俗画の代表的なもの。ブルジョワ家族の昼食の一コマを描いている。

小さなテーブルを囲んで、五人の人々が描かれている。奥にいる男性が一家の主人なのだろう。手前の二人の婦人との関係はわからない。左側の婦人は、幼い子どもをあやしており、右側の夫人は背後の子どもに目を向けている。それぞれが自分の子どもの面倒を見ているのだろうか。

左側にある窓から差し込んだ光が、かれら五人を浮かび上がらせている。光を有効に活用した表現方法は、フランドル派から学んだようである。

英語では「朝食(Breakfast)」と呼ばれるが、フランス語タイトルの意味は「昼食」である。昼食にしては、質素すぎるかもしれない。

(1739年 カンバスに油彩 82×65㎝ パリ、ルーヴル美術館)



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