壺齋散人の美術批評 |
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ポンパドゥール夫人:ブーシェ |
ポンパドゥール夫人は、フランス国王ルイ十五世の公妾として、宮廷サロンを主宰し、学者や芸術家を庇護したことで知られる。フランスのロココ文化の華というべき女性である。もともと平民の出身であり、徴税請負人と結婚したのであったが、美しい女に目がなかったルイ十五世の心をとらえ、夫と別居して、国王の妾となったのであった。 四十二歳の若さで死んだこともあり、その生涯はさまざまな逸話に彩られている。とりわけ、ディドローやヴォルテールといった啓蒙思想家との交際は有名である。また、ロココ芸術をこよなく愛し、その代表者であるブーシェに目をかけた。 ポンパドゥール夫人の肖像画をブーシェは数点残しているから、たびたび彼女のもとに出入りして、その美しさをキャンバスに定着させる仕事に従事したのであろう。当時有力者の肖像画を描くことは、画家がパトロンを得るための不可欠の仕事だった。 これは、数ある夫人の肖像画のなかでも、もっとも優雅さを感じさせるもの。夫人は、髪型とか衣装の優雅さで、当時のファッションをリードしていたという。この絵には、そうしたポンパドゥール夫人のファッションセンスが感じられる。 (1756年 カンバスに油彩 213×165㎝ ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク) |
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