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八歳のマルガリータ王女:ベラスケスの世界




ベラスケスは、マルガリータ王女の肖像画を数多く描いたが、それは婚約者レオポルド一世への成長報告として描かれたもの。「八歳のマルガリータ王女」は、その最後を飾る作品だ。

「ラス・メニーナス」の中の五歳の時の表情と比べて、一段と成長した落ち着きを感じさせる。輪骨入りの大きく膨らんだスカートをはき、両手を広げているところは、他の一連の肖像画のポーズと共通している。

衣装の色は、ブルーとシルバーの組合せで、冷たい印象を与えるが、背景とのコントラストをきかせることで、浮き上がって見えるような工夫がされている。その背景が暖色がかっていることで、全体として調和のとれた色彩配置になっている。

この絵は、一時紛失し、楕円形に切り取られた形で発見された。その後、1953年に修復されてもとの姿に戻ったといういきさつがある。

(1659年 カンバスに油彩 127×107㎝ ウィーン、美術史美術館)




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