壺齋散人の 美術批評
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悪女フリート:ブリューゲルの世界




「悪女フリート」は、フランドルの説話に出てくるキャラクターだ。地獄の入り口に立って、やってくる人々を待ち構え、彼らから身ぐるみをはぐという、とてつもない女のことだ。ブリューゲルはこの悪女を題材にして、この絵を描いた。

画面ほぼ中央で鎧をまとい右手に剣を持っているのが悪女フリートだ。左手には略奪したものをいくつか抱えている。視線の先には巨大な口が描かれているが、この口は地獄の入り口のメタファーだ。

フリートの背後には、仲間の女たちがそれぞれに略奪を働いている。彼女らが略奪しているのは、自分の亭主だという説もある。

フリートのやや右上に描かれている男は頭上に船を担ぎ、尻をむき出しにしている。尻には穴があいていて、そこには糞便の代わりに石炭が詰まっている。男は右手で持ったシャベルでその石炭を掻き出そうとしているが、そこにどんな目的が込められているのか、筆者にはわからない。

この絵にも、ボス的な奇怪なイメージがたくさんちりばめられている。中でもスプーンをくわえた肛門などは、もっともユーモラスなものだ。

(1562年、板に油彩、117×162cm、アントワープ)





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