壺齋散人の 美術批評
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三美神:クラナッハの官能美




三美神はイタリア・ルネサンスの画家たちが好んで取り上げたテーマであり、ラファエルやボッティチェルリも描いている。クラナッハも、このテーマを繰り返し描いた。

同じように三人の女神を描いたものに「パリスの審判」がある。これらの絵に出てくる女性たちは、殆ど同じように見えるが、彼女らを巡る物語はそれぞれ異なっている。ユディットとサロメを描いた絵が、どちらも同じように見えるのに、背後にある伝説が全く異なっているのと同じような関係だ。

パリスの審判に出てくる女性たちはギリシャ神話の女神、ヘーラー、アフロディテー、アテーナーである。それに対して、この絵に出てくる女性たちは、同じくギリシャ神話の女神、エウプロシュネー、タレイア、アグライアである。彼女らはゼウスとエウリュノメーの間に生まれた三人姉妹で、それぞれ愛欲、純潔、美の化身であると言われている。

(1531年、板に油彩、37×24.2cm、ルーヴル美術館)





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