壺齋散人の 美術批評
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カーネーションの聖母:レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画




レオナルド・ダ・ヴィンチは1452年にトスカナ地方の村ヴィンチに生まれ、17歳の頃、フィレンツェの画家・彫刻家アンドレア・デル・ヴェロッキョの工房に弟子入りして画家としての修行を始めた。レオナルドは早くから絵の才能を示し、ヴァザーリを通じて彼の才能を知ったヴェロッキョが、その才能を伸ばしてやるようにレオナルドの父親を説得したのだった。

「カーネーションの聖母」といわれるこの作品は、1475年頃のもので、レオナルドが自分の手で完成させた最初の作品とされる。この時のレオナルドはまだ二十代なかばだったが、すでに大家の片鱗を感じさせる。

若々しい女性のマリアが、小さな子どものイエスキリストを膝の上に抱きかかえている構図は、師のヴェロッキョの聖母像からの影響が指摘されている。この絵のマリアは、一輪のカーネーションを左手で持ち、それに子供が戯れかかっている。どういうわけか、子供の目はカーネーションのほうではなく、また聖母のほうでもなく、あらぬ方向に向いている。

背景には、建物の窓越しに山野の風景が描かれている。ぼんやりと霞がかったように背景を描くのはレオナルドの大きな特徴であるが、これは師のヴェロッキョにも見られるものだ。恐らくヴェロッキョから影響されたのだろう。(板に油彩 62×47.5cm ミュンヘン、アルテ・ピナコテク)





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