壺齋散人の 美術批評 |
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風を止める四天使:デューラー「ヨハネの黙示録」 |
「ヨハネ黙示録」第五・第六の封印の場面に続いて、第7章では「刻印を押されたイスラエルの子ら」の場面が展開される。その場面はテクストでは次のように書かれている。 「この後、わたしは大地の四隅に四人の天使が立っているのを見た。彼らは、大地の四隅から吹く風をしっかり押さえて、大地にも海にも、どんな木にも吹きつけないようにしていた。 「わたしはまた、もう一人の天使が生ける神の刻印を持って、太陽の出る方角から上って来るのを見た。この天使は、大地と海とを損なうことを許されている四人の天使に、大声で呼びかけて、こう言った。 「我々が、神の僕たちの額に刻印を押してしまうまでは、大地も海も木も損なってはならない。」 「わたしは、刻印を押された人々の数を聞いた。それは十四万四千人で、イスラエルの子らの全部族の中から、刻印を押されていた」(日本聖書協会訳) 画面では、左下に武器を持った4人の天使が空を見上げているところが描かれ、彼らの視線の先に、十字架を担いだもう一人の天使が描かれている。四天使の右側で、人々に向き合っているもうひとりの天使は、イスラエルの子らに刻印を押しているようである。この天使はテクストには現れないが、テクストの意を呈して、デューラーが特に付け加えたのだと思われる。 四天使はいづれも威風堂々と描かれている。デューラーはこれらの人物像を、ゴシック寺院を飾っていた人物彫刻を手本に描いたといわれる。 (1497-1498年、木版画、39×28cm、カールスルーエ国立美術館) |
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