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ドナテッロ:ルネサンス美術




ドナテッロ(1386?-1466)は、若年の頃ブルネレスキとともに彫刻制作に携わったことがあり、ブツネレスキから大きな影響を受けた。その影響とは、人物をリアルに表現することにあった。ドナテッロはルネサンス時代の彫刻家のなかで初めてリアルな人物像を制作した作家として、以後のルネサンス美術に大きな影響を及ぼしたのである。

聖マルコ像(上の写真)は、麻織物組合の依頼を受けて、フィレンツェのオルサンミケーレ教会の壁龕を飾るものとして制作された。実在の人物をモデルにしていると言われ、バランスのとれたプロポーションは、リアルな人物表現を感じさせる。



これは、ダヴィデ像。コジモ・ディ・メディチから、その邸宅リカルディ宮殿の装飾用に依頼されたもので、ドナテッロの彫刻作品のなかでは最も有名なものである。左足でゴリアテの首を踏みつけ、右手にその首を打ち落とした剣を持っている。そのダヴィデを裸体で表現したのは、古代ローマ時代以来のことであった。ミケランジェロのダヴィデ像は、このドナテッロのダヴィデ像を強く意識したものだ。

この像には、ドナテッロの同性愛的な傾向が盛り込まれていると言われている。ドナテッロが同性愛者であったとする証拠は見つからないようだが、なぜかそのような言い伝えが普及した。その背景には、当時のフィレンツェでは同性愛が流行していたという歴史的事実があったようである。



これは、ガッタメラータ騎馬像といって、ドナテッロ晩年の傑作である。ガッタメラータは傭兵隊長として知られ、ヴェネツィア軍の総司令官などを歴任した軍人であるが、その死後、遺族からパドヴァに招かれ、その偉業を記念する彫像の制作を依頼された。

この像は、馬も人間も等身大に作られており、ルネサンスで最初の騎馬像となった。その影響は後世に及び、かのガリバルディの騎馬像も、この像を手本にしている。





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