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ロレンツォ・モナコ:ルネサンス美術 |
ロレンツォ・モナコ(1370?-1425)のモナコとは修道士という意味で、かれの本名はピエロ・ディ・ジョヴァンニといった。修道士と綽名で呼ばれたのは、1391年にフィレンツェのカマルドリ修道会に入ったため。後年は脱会して画業に専念したが、相変わらずモナコと呼ばれた。 かれは、そうした宗教的な背景もあって、ジョット以来のリアリズムの表現よりも、聖人を理想化するゴチック流の表現に拘った。 上の写真は、「玉座の聖母子」と呼ばれるかれの初期の代表作。聖母の表情には優美さが感じられ、細長い体つきや、色あざやかな色彩の衣装に、理想化への意思が感じられる。(1410年 フィレンツェ、アカデミア美術館) これは、円熟期の代表作の一つ「東方三博士の礼拝」。聖書の記述には、聖母子は馬小屋で三博士の礼拝を受けたということになっているが、この絵では、馬小屋の様子はなるだけ省略され、聖母は厳粛な雰囲気のなかで博士たちの礼拝を受けている。博士たちのほかに、大勢の人々が集まり、聖母子を取囲んでいる様子には、リアリズムよりは、宗教的な厳粛さを優先する意図を感じることができる。(1422年 フィレンツェ、ウフィチ美術館) ロレンツォ・モナコの優雅な画風は、フラ・アンジェリコによって受け継がれた。 |
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