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ジョヴァンニ・ベッリーニ:ルネサンス美術




ジョヴァンニ・ベッリーニ(Giovanni Bellini 1430頃 - 1516)は、ヴェネツィア派美術の先駆者である。ヴェネツィア派はフィレンツェ派と並んで、イタリア・ルネサンス美術を牽引した。柔和で華麗な色彩が特徴である。ジョヴァンニ・ベッリーニは、画家の一族に生まれ、父ヤーコボ、兄ジェンティーレも美術史に名を残した。

ジョヴァンニ・ベッリーニの画風は、ヴェネツィア派の先駆者らしく、華麗な色彩を駆使する一方、パドヴァ派の画家マンテーニャの影響をも受けている。マンテーニャはジョヴァンニ・ベッリーニの姉と結婚しており、両者は親密な関係にあった。マンテーニャの画風には、厳格で理知的な画面構成とか硬質的な線描といった特徴が見られるが、ジョヴァンニ・ベッリーニにもそういう傾向が指摘できる。

「ピエタ」(上の写真)はジョヴァンニ・ベッリーニの代表作。ピエタといえば、ミケランジェロの彫刻があまりにも有名だが、原語はイタリア語で哀れみを意味し、キリストの死を嘆く聖母を表す言葉として使われた。この絵の場合、キリストは死んではおらず、憔悴した姿で聖母と聖ヨハネに寄り添われている。キリストの手に槍で刺された跡があることから、十字架から降ろされたところだと確認できる。こういう画題は聖書に根拠があるわけではない。ベッリーニの独自の解釈であろう。(1460年 板にテンペラ 86×107㎝ ミラノ、ブレラ絵画館)



これは、「牧場の聖母」。ジョヴァンニ・ベッリーニは数多くの聖母子像を残したが、これはその代表的な作品。牧場を背景にして、聖母子が描かれているが、幼いキリストの描き方が特徴的である。なお、この絵は、当時用いられ始めていた油彩絵具で描かれている。(1500-1505年頃 板に油彩 67×86㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー)



これは、「神々の祝祭」。ベッリーニの最晩年期の傑作である。モチーフの神々の祝祭とは、酒と豊穣の神バッコスを中心にしたもの。絵の中の左手、ロバにまたがっているのがバッコスだと思われる。かれの周囲には、大勢の神々がそれぞれワインを飲んで寛いでいる。背景の森には、ベッリーニの弟子ティツィアーノの手が加わっている。(1514年頃 キャンバスに油彩 170×188㎝ ワシントン、ナショナル・ギャラリー)




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