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ミレー「木から下ろされるオイディプス」:バルビゾン派の画家たち




1845年、ミレーは故郷グレヴィルの農家の娘カトリーヌ・ルメールと事実上の結婚生活に入った。結婚にはミレーの父親が反対した。理由は家柄の相違だった。ミレーの家も農家だったとはいえ、古い家柄を誇り、先祖には出世した人物もいた。正式に結婚できたのは1853年である。

ミレーは1847年のサロンに「木から下ろされるオイディプス(Œdipe détaché de l'arbre par un berger)」を出展し、始めて入選した。この作品は、テオフィル・ゴーティエら美術批評家から高い評価を受けた。

オイディプス神話からモチーフをとっている。生まれたばかりのオイディプスが、父親殺しの予言によって、殺されかけたが、命令を受けた家臣の情によって、木の上に捨てられた。そのオイディプスを羊飼いが見かけて引き取ったという神話である。この絵は、オイディプスが木から下ろされて、羊飼いの腕に抱きとめられる様子を描いている。

この当時のミレーの特徴である「華やかな手法」によって描かれている。画面は非常に明るい。

(1847年 カンバスに油彩 135.9×77.5cm オタワ、カナダ国立美術館)




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