壺齋散人の美術批評
HOME ブログ本館 | 東京を描く 水彩画 日本の美術 プロフィール 掲示板



グリーンのブラウス:ボナールの色彩世界




「グリーンのブラウス(The green blouse)と呼ばれるこの絵は、別名を「ヴェルノンの室内」ともいう。現在保存しているニューヨークのメトロポリタン美術館がこの作品を「グリーンのブラウス」と名付けているのだが、もともとは「ヴェルノンの室内」と呼ばれていた。日本ではそのほうで呼ばれることが多い。

ヴェルノンは、セーヌ川下流の村で、そこにボナールは小さな家を買い、そこを拠点にして多くの絵を制作した。その家を舞台にした作品を多く手掛けており、「ヴェルノンシリーズ」として知られている。これもその一点である。

ボナールの色彩へのこだわりが頂点に達したといえる作品で、フォルムは色彩のうちに閉じ込められている。とりわけ、暖色主体にして画面を構成し、ところどころグリーンなどの補色を配してメリハリをつけている。モチーフのブラウス自体がグリーンである。

モデルは内妻のマルト。ボナールの絵のモデルはほとんどマルトがつとめていた。

(1920年頃 カンバスに油彩 102×69㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館)



HOMEボナール次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである