壺齋散人の美術批評 |
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フロリダブランカ伯爵の肖像 ゴヤの肖像画 |
「フロリダブランカ伯爵の肖像」は、肖像画家としてのゴヤの名声を一気に高めた作品である。フロリダブランカ伯爵ホセ・モニーノは、スペイン王カルロス三世の信頼厚く、1777年以来宰相を務めていた。その人物にゴヤがどのような機縁で近づいたかはよくわからぬが、その肖像画を制作するや、大いに気に入られ、貴族社会に名を知られるようにもなった。そうした境遇をバネに、ゴヤは宮廷画家に迎えられることになる。 画面中央に、威風堂々たる伯爵を配し、左手にはキャンバスを抱えた画家(ゴヤ自身)がご機嫌伺いをしている。この時ゴヤは37歳だったが、使い走りの少年のように描かれている。ゴヤ一流の謙遜であろう。 背後の壁には、時の国王カルロス三世の肖像画がかけられている。王の後ろに立っているのは執事だろう。なにやら書類が置かれているが、それにはカルロス三世の華麗な業績が記されているという。 伯爵に光を浴びせかけて、かれの肖像が浮かび上がるように工夫されている。その辺は、バロックの技法を意識しているのであろう。 (1783年 カンヴァスに油彩 260×166㎝ マドリード、ウルキー銀行蔵) |
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