壺齋散人の美術批評 |
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魔女の飛翔 ゴヤの怪異画 |
「魔女の飛翔(Vuelo de Brujas)」と題するこの作品は、「魔女の夜宴」と同じく、オスナ公爵の依頼を受けて制作した六点の怪異画のうちの一つ。マドリード郊外の公爵の別荘ラ・アラメダに飾られた。モチーフは、飛翔する魔女たちである。 画面中央には、三角帽をかぶった三人の魔女が、裸の男を抱えて空中を飛翔する様子が描かれている。この三角帽子は、懺悔のコロサといって、異端審問と深いかかわりがあることから、この絵は、異端審問をイメージさせる。しかし、魔女が異端審問をするというのは、いささか奇異な念を催させる。 魔女たちの下には、ガウンで顔を覆う女と、地面に倒れ伏して顔を隠す男が描かれている。かれらは、この不吉な出来事を見たくないのであろう。また、画面右下にはロバが見える。なぜここにロバがいるのか、よくはわからない。 暗い背景と魔女たちの明るく照らされた姿が劇的なコントラストを醸し出している。これは、バロックの影響であろう。 (1798年 カンバスに油彩 43.5×30.5㎝ マドリード、プラド美術館) |
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