壺齋散人の 美術批評 |
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エミール・ゾラの肖像:マネ |
マネはゾラの友情に応えて肖像画をプレゼントした。その絵は1868年のサロンに出展され入選したが、批評家の評価は芳しくなかった。いつもは自分をほめてくれるゾラが当時者になったことで、誰もこの絵をほめるものはいなかった。ゾラ自身、この絵が気に入らなかったとみえて、自分の家にかざることをしなかったという。 ゾラが座っているのはマネのアトリエである。マネもジャポニズムにかぶれており、室内には琳派風の屏風とか歌川国明の浮世絵版画が飾ってある。そのほか、オランピアの版画とかベラスケスの複製画が飾られている。面白いことにそれらの人物はみなマネの方へ視線を向けている。オランピアなどはそのために、原作とは違った雰囲気に見える。 机の上には、羽ペンの背後にパンフレットが置かれ、そこにはマネの署名がある。これにはゾラがマネを論じた文章が収められているのだが、マネはそれを署名代わりに使ったのである。 ゾラが手に持っているのはシャルル・ブランの「絵画史」である。マネはこの本から多くのインスピレーションを得たと言われる。 (1868年 カンバスに油彩 146×114㎝ パリ、オルセー美術館) |
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