壺齋散人の 美術批評
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リビアの巫女:ミケランジェロ「システィナ礼拝堂天井画」




リビアの巫女とは、リビア砂漠のオアシス都市シワでゼウスの神託を人々に伝えていたフォモノエーという名の女性だったとされる。パウサニアスによれば、不死のニンフと人間の男とのあいだに生まれたといい、また他の伝説によれば、ゼウスがラミアに生ませた子だともいう。そういう神話的な伝説が物語るように、シビュラの中でもっとも古い時代の人である。

ミケランジェロの描いたリビアの巫女は、体を捻じ曲げた不自然な姿勢で、大きな書物を掲げている。その書物の表紙の半分は後の台の上に乗っており、彼女はいまにもその台のほうへ体を曲げて書物を開こうとしているように見える。その書物にどのような事柄が書かれているのか、それを知る手がかりはない。

彼女の衣装のオレンジ色を中心にして、全体として暖色主体でまとめられ、色彩的にも造形的にも完成度が高い。十二人の預言者・巫女の像のうち、この絵は最後に描かれた。なお、絵のモデルは、ミケランジェロの弟子の少年だという説がある。





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