壺齋散人の 美術批評 |
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ラ・グルヌイエール(La greneuillere):モネ |
1869年の秋、モネは友人のルノアールとカンバスを並べてラ・グルヌイエールと言われる行楽地の光景を描いた。この行楽地はパリの西、セーヌ川沿いの町ブージバルの近くにあり、パリから日帰りで行ける行楽地として人気があった。かのナポレオン三世も、妻とともに遊んだと言う。 モネとルノアールはカンバスを並べて描いたというだけあって、二人の絵の構図はほとんど同じである。しかし見た印象はかなり違う。モネのほうが画面が明るく、全体として単純な印象を与える。その辺は彼らの画家としての資質の違いによるのだろう。 二人とも、水のさざめきの雰囲気に力を入れている。このさざめきがあるために、小島の上の人びとの影は、水には映らない。木の影がかろうじて一本の線として映っているだけだ。この島は水浴のための拠点なのだが、小島の上の人々には水浴の様子はうかがえない。ただ、島の左手に、何人かの人々が裸で水に浮いている姿が見える。 ラ・グルヌイエールとは蛙の島という意味だが、どういう理由からその名がつけられたのかははっきりしない。なお、この絵は1870年の官展に出展され、クールベの強い推薦があったにかかわらず、落選した。 (1869年 カンバスに油彩 74.5×99.7㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館) |
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