壺齋散人の 美術批評 |
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ボートの娘たち:モネ |
「日傘を持った女」とほぼ同じころ、モネはアリスの娘たちがボートに乗っている絵を何点か描いた。これはその一点。二人の若い女性がボートに乗って、なにやら語らいあっている。その姿勢には、若い女性の屈託のなさが表れている。 アリスには、成長した三人の娘があった。ジェルメーヌ、シュザンヌ、ブランシュである。この三人をモデルにした絵のうち、上の絵は最ものびやかさの感じられるものだ。この二人が三人のうちだれであるかは、よくわからない。モネはシュザンヌがもっとも気に入っていたようなので、二人のうちどちらかはシュザンヌだと思われる。 ボートの名前はアン・ノルヴェジェンヌといい、ボートが浮かんでいる川はエプト川である。そのエプト川の水面に青空に浮かんだ雲の影がうつり、その揺らぎに水の動きを感じさせられる。 青い水面を背景にして、娘たちの白い衣装がはえる。娘たちの表情は曖昧だが、その屈託のなさそうな様子は、体全体で表現されている。 (1887年 カンバスに油彩 145×132㎝ 東京、国立西洋美術館) |
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