壺齋散人の 美術批評 |
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四季:ミュシャの世界 |
ポスターやカレンダーの図柄と並んで、ミュシャは装飾パネルの制作にも手を広げた。ポスターやカレンダーが大変な人気を博し、観賞用の作品への需要が高まったためだ。ミュシャは、さまざまなテーマを設定したうえで、二枚ないし四枚一組にして売り出したのだった。 「四季(Les Saisons)」と題するこのシリーズは、ミュシャの装飾パネルの最初の作品。四季を、女性と植物によって表現したものだ。女性はうすいドレスを羽織り、季節を感じさせる花の髪飾りをつけ、また、季節感あふれる自然のなかでポーズをとっている。 上の絵は春を表現したもの。緑が燃え広がる草原の中に、白い花飾りをつけた女性が、ハープをいじっている。ハープは春を感じさせる音を出す。そのハープの妙なる音につられるように、女性の髪は優雅な曲線を描いて伸び広がっている。 これは夏。赤い花飾りをつけた女性が、岩に腰を下ろしながら、渓流の水に足を浸している。水を描きいれることで、涼しさを演出しているのだろう。 なお、秋には菊の花飾りをつけた女性、冬には雪をまとった枯れ枝の髪飾りをつけた女性が描かれている。 (1896年 紙にリトグラフ 各103×54㎝) |
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