壺齋散人の 美術批評
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サロン・デ・サン:ミュシャの世界




ミュシャは1897年に二度古典をひらいた。最初は単独で、二度目は合同展の形で。このポスターは、その合同展「サロン・デ・サン(Salon des cents)」のために制作したもの。その名の通り100人の芸術家が450点にのぼる作品を展示した。

展示場は、国立美術学校付近の画廊で、美術雑誌「ラ・プリュム」のオーナーが所有するものだった。「ラ・プリュム」はもともと象徴主義を標榜していたが、オーナーがミュシャを気に入り、雑誌上で大特集を組んだほどだった。

このポスターは、画面の上部で「サロン・デ・サン」を宣伝し、下部でミュシャ本人の宣伝をしている。美術の女神ミューズに扮しているのは、ミュシャのこだわるスラブの女性である。菊の花をあしらったボンネットや、控えめな衣装に、スラブの雰囲気が感じられるという。

大きな色紙を立てるように持ち、そこに四つの形象を描いている。三つの輪は、受難、希望、信仰をあらわし、ハートは愛をあらわす。

(1897年 紙にリトグラフ 66.2×46.0㎝)


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