壺齋散人の 美術批評 |
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ハムレット:ミュシャの世界 |
サラ・ベルナールの1899年の舞台公演「ハムレット」のために作成したポスター。フランスでは、シェイクスピアの原作をほぼ忠実に再現した最初の舞台だったという。それ以前には、フランス人好みに合わせて、かなり逸脱したバリエーションが演じられていたということらしい。 ハムレットに扮したサラの横向きの全身像が描かれている。おそらく例の有名なせりふ(to be,or not to be)の場面を想定しているのだろう。だが、画面上部には父親の亡霊が描かれているし、足元の小さな枠の中にはおぼれるオフェリアが描かれている。ハムレット本人は、剣を抱えて考え込んだ姿である。 サラは男装も得意だったようで、ほかにもミュッセ原作のロレンザッチオなどを演じている。そのポスターもミュシャは手掛けている。それもやはり物思いにふけった姿で描いているが、剣のかわりに書物を抱えた姿だ。 この作品は、サラのための最後のポスターとなった。 (1899年 紙にリトグラフ 207.5×76.5㎝) |
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