壺齋散人の 美術批評 |
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自画像:レンブラント |
レンブラントは生涯に夥しい数の自画像を描いた。油彩、版画を併せると百点を超える。こんなに多くの自画像を描いた画家は他にいない。ゴッホも多くの自画像を残したが、その数はレンブラントの半分以下だ。レンブラントは、自分の肖像をモチーフにしたばかりではない、作品のなかで群衆の一部に自分の姿を描き加えるなど、要するに自分の姿にこだわったのである。 上の絵は、1634年のもの。サスキアと結婚した前後の作品だろう。レンブラントは、サスキアとの結婚前後に、彼女の肖像画を数多く描いたのだったが、それと同時に自分の肖像画も描き、結婚の記念としたつもりのようだ。 この絵の中のレンブラントは、鎧の一部をつけている。これは当時クライマックスを迎えつつあった対スペイン戦争で、市民軍がつけていた鎧だ。レンブラント自身は、市民軍に加わったことはなかったが、それへの連帯感を、こうした形で示したのであろう。 この時のレンブラントは、まだ二十代の若さだった。その若さのエネルギーがほとばしっているように見える一作だ。他の自画像からもうかがえるが、レンブラントは童顔だったようだ。 (1634年 カンバスに油彩 67×54㎝ フィレンツェ、ウフィチ美術館) |
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