壺齋散人の 美術批評 |
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皮をはがされた牛:レンブラント |
![]() 「皮をはがされた牛」は、レンブラントとしては珍しいモチーフなので、その真偽が問題になったこともあるが、今日ではレンブラントの真作と広く認められている。こうしたモチーフを選んだのは、なにごとにも挑戦を惜しまないレンブラントの向上心の現われだと解釈されている。 皮をはがされて一部解体された牛が、天上から吊るされている。奥のほうには、女性がかいがいしく働く様子が見える。また右手前に見えるのは、とりだされた牛の内臓だろうか。 牛の死体に光が集まっているので、暗い背景から強く浮き上がって見える。この部分にだけ光が集中しているおかげで、観客の視線はそこに釘付けになる。観客の視線を釘付けにした状態で、牛の内部がありありと見えるように、心憎いほどの演出が施されているのがわかる。 なお、レンブラントはこれとほとんど同じような絵をもう一点描いており、今日ルーヴル美術館が所蔵している。そちらのほうは、右手に室内を覗き見る女の顔が描かれている。 (1840年 板に油彩 グラスゴー、アート・ギャラリー) |
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