壺齋散人の 美術批評
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黄金時代:クラナッハの官能美




クラナッハは、黄金時代をテーマにした絵を何点か描いている。黄金時代というのは、ギリシャ神話に出てくるものであり、聖書におけるエデンの園のような、一種の理想郷の展開していた時代を言う。

ヘシオドスの「仕事と日々」によれば、黄金時代は世界が作られて間もない頃であって、クロノスが神々の支配者であった。人間も神々と共に暮し、不死ではないものの不老長寿であり、若い頃の姿のままで、安らかに死んでいった

世の中は調和と平和に満ち、争いも犯罪もなかった。あらゆる産物が自動的に生成され、労働の必要はなかった。

クラナッハは、こうした黄金時代のイメージを視覚化したわけであろう。不老長寿の人々が、いつまでも若々しい姿で、毎日を楽しく送っている。そんなイメージが伝わってくる絵だ。

(1530年、板に油彩、73.5×105.5cm、ミュンヘン、ピナコテーク)





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