壺齋散人の 美術批評
HOME ブログ本館 | 東京を描く 水彩画 日本の美術 プロフィール 掲示板


コロー「フォンテーヌブローの森の浅瀬」:バルビゾン派の画家たち




コローは、1831年にフォンテーヌブローの森をモチーフにした作品を4点サロンに出展して以来、数年にわたってフォンテーヌブローにこだわり続けた。「フォンテーヌブローの森の浅瀬(Forêt de Fontainebleau)」と題したこの作品は、1933年のサロンに出展され、次点に輝いた。これがきっかけで、コローは新しい風景画の旗手として、広く世に認められるようになる。

コローの製作態度の基本は、風景画を戸外の現場で仕上げるというものだったが、この作品は、戸外での下絵をもとに、アトリエで完成させた。そのためか、戸外にあふれているはずの光が、あまり強烈には表現されていない。

左下手に、書物を読む女性が配されているが、コローの風景画には、このように人物を配するものが多い。おそらく風景が人物画の背景だった時代のなごりなのであろう。なお、この女性はマグダラのマリアとして受け取られたということだ。

(1933年 カンバスに油彩 90.2×128.8cm ワシントン、ナショナル・ギャラリー)




HOME バルビゾン派 次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2021
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである