壺齋散人の美術批評 |
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犬の歌:ドガの風俗画 |
ドガは、1876年から翌年にかけて、モンマルトルのカフェ・コンセール「レザンバサドゥール」に足しげく通い、歌い手や客をモチーフにした一連の作品を作った。それらの作品は、モノタイプの上にパステルやグアッシュでハイライトをつけるという方法をとっていた。モノタイプとは、板などに描画したイメージを紙にプリントするもので、一回限りしかできないことから、モノプリントとも呼ばれる。モノとは、一回限りといった意味である。 「犬の歌(La Chanson du Chien)」と題されるこの絵は、そんなカフェ・コンセールものの代表的な作品。歌手や主要な部分をモノタイプで表現したうえに、パステルとグアッシュを使ってメリハリをつけている。白色電灯はグアッシュで表現したものだ。 歌手は、当時有名な歌手として人気のあったテレサ。そのテレサが犬のまねをしているところだ。口をだらしなく開き、両手をだらりとさせて、さも犬のような振舞いをしている。歌声も犬の吠え声を真似ているのだろう。 このカフェ・コンセールは、パリでもっとも人気のあった店で、後にロートレックも通うようになった。 (1877年 紙にモノタイプ・パステル・グアッシュ 57.5×45.4㎝) |
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