壺齋散人の美術批評 |
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アイロンをかける女たち:ドガの風俗画 |
ドガは、庶民の生活ぶりをスナップショット的に描くことでは、やや先輩ながらほぼ同時代の画家ドーミエと似たところがある。だが、大きな相違もあった。ドーミエは、同時代のフランス社会の矛盾のようなものを批判的に描いたものだったが、ドガにはそうした批判意識は認められない。かれは単に、人間の動作に造形的な関心を寄せたに過ぎない。 「アイロンをかける女たち(Repasseuses )」と題するこの作品は、仕事をする二人の女がモチーフだ。二人のうち一人(右側)は、白い布にアイロンをかけているところだが、もう一人(左側)のほうは、仕事をさぼってあくびをしている。その対照的な仕草の組み合わせが面白い。 ドガは、アイロンをかける女をモチーフにした作品を、ほかにも描いている。おそらく、筋肉を緊張させるアイロンがけの仕草が、ドガには気に入ったのであろう。 (1884年頃 カンバスに油彩 76.0×81.5㎝ パリ、オルセー美術館) |
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