壺齋散人の 美術批評
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幾何学様式:ギリシャ美術




紀元前1200年頃をピークに、印欧語族の一分派であるドリス人がギリシャ半島に南下してきて、先住民族のミケーネ文化を完全に滅ぼした。そのことで、ギリシャは一気に野蛮な時代に逆戻りしたといわれる。ドリス人に追われた先住民族のアカイア人たちは、アッティカ地方や小アジアに移動し、そこでイオニア文化と呼ばれる新たな文化を作り始める。ギリシャはこのイオニア文化とドリス文化とが対立しながら新たな時代を作り上げてゆく。
その新たな時代のギリシャ美術を代表するのが、アテネのディピュロン門付近から出土した土器類に刻まれた文様だ。幾何学的な文様であることから、それを幾何学様式、或は出土した土地からディピュロン様式とも呼ばれている。

上の写真は、その幾何学様式の陶器である。同じパターンの図柄が整然と繰り返され、幾何学的な美しさを演出している。



これは、別の壺に施されているパターンの一部で、死者の葬儀をモチーフにしている。興味深いのは人物の描き方。腰のところが極端にくびれている。こうした人体の表現は、この時代のギリシャ美術に特徴的なものである。




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