壺齋散人の美術批評
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トルーラにやっつけられるヒューディブラス:「ヒューディブラス」へのホガースの挿絵その五




サミュエル・バトラー「ヒューディブラス」へのホガースの挿絵シリーズ第五作は「トルーラにやっつけられるヒューディブラス(Hudibras Vanquish'd by Trulla)」と題される。民衆の暴動を鎮圧して首謀者のタルゴを監獄に幽閉して勝利を味わったのもつかの間、ヒューディブラスは手痛い反撃を受ける。暴動に加わっていた女房トルーラが、仲間を伴ってヒューディブラスに襲い掛かり、さんざんやっつけるのである。

画面中央の威勢のいい女がトルーラ。彼女はヒューディブラスの上に馬乗りになり、ヒューディブラスから奪った剣を振り回している。画面右手には、仲間の連中が、それぞれ武器を手に取って加勢している。左手には、従者と思われる人物が、やはり拘束されている。地元の人々が、ヒューディブラスによる一揆つぶしに反撃したのだ。

ヒューディブラスは、ピューリタン精神を体現した人物であり、そもそも改革h派だったはずだ。ところが、この物語では、地方の庶民によって、自分たちの生活を脅かす存在とうけとられていたらしい。原作者のバトラーは、王党派であるから、ピューリタンには敵意を抱いていた。地元の庶民をヒューディブラシに敵対させたことには、それなりの政治的な思惑が働いていたと考えてよいだろう。



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