壺齋散人の美術批評
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怠惰な徒弟は追放され、海へ送られる:ホガースの版画シリーズ「勤勉と怠惰」




ホガースの版画シリーズ「勤勉と怠惰(Industry and Idleness)」の第五点目は「怠惰な徒弟は追放され、海へ送られる(The Idle 'Prentice turn'd away, and sent to Sea
)」と題する。怠惰な徒弟トム・アイドルが、ついに親方から愛想をつかされ、追放されてしまうところを描く。それにはフランシスの助言もあったと思われる。追放されたトムは、どういうわけか、遊び仲間とともに船に乗って、いづことも知れぬ場所に向かっている。

船に乗っている五人の人物のうち、左から二番目がトム・アイドル。トムは紙を海に投げ込んだが、これは親方からの解雇状であろう。そのトムを仲間がからかっている。すぐ後ろの男は、先端がヒラヒラとしたロープでトムをくすぐっているが、これは九尾の猫のシンボル。いたずらの道具である。また右側の男は、右手奥の船を指さしているが、その船のマストには人間が吊るされている。お前もいつかは同じ目に会うぞと戒めているのであろう。

右手前の老嬢は、画面下の付け書きからして、トムの母親とわかる。母親は息子の行く末を心配しているのだが、当の息子は無関心である。船の行き先の方向には、黒い雲がかかっており、船の運命を暗示している。



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