壺齋散人の 美術批評
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花:ミュシャの世界




「花」シリーズはミュシャの装飾パネルセットの代表的な作品。四種類の花を、それぞれ女性の姿に擬人化した図柄だ。このシリーズは大好評をはくし、装飾パネルのほか、カレンダーやポスターにも採用された。また、小さな画面にして四枚一組にしたバージョンが飛ぶように売れたという。

上の絵はバラ。バラで髪をかざり、またバラの大きな花弁を両手にもった女性が、見る者になにかを問いかけているようにみえる。このような、見者とのコミュニケーションを思わせるような構図も人気の原因となったのだろう。



これはユリ。ユリの花飾りをつけた女性が、やはりユリの花びらに囲まれながら、恍惚とした表情をしている。

このほか、アイリスとカーネーションがあり、それらも同じように花びらに囲まれた女性を描いている。この二つには水彩画のバージョンがあって、1897年の「サロン・デ・サン」に出展されたというから、ミュシャはかなり早くから、花のモチーフに興味を抱いていたのがわかる。

(1898年 紙にリトグラフ 各103.5×43.3㎝)


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