壺齋散人の 美術批評 |
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雪の中の労働者:ムンク |
男性美を追求したムンクがたどりついたのは、労働者の働く姿に現われた男の力強い美しさだった。晩年のムンクは、こうした労働者像をいくつも描いたが、「雪の中の労働者」と題するこの絵は、その代表的な作品だ。 前景には、シャベルを担いだり手で持ったりした三人の労働者がアップで描かれ、背景には思い思いの姿勢で働いたり、休んでいる労働者たちが描かれている。「水浴する男たち」も威風堂々とした姿で描かれていたが、この絵の中の労働者たちも威風堂々として、自分自身に誇りをもっているように描かれている。「水浴する男たち」に衣服を着せたら、こんな姿になるのだろう。 労働者を描いた画家としては、ミレー(種まく人)やゴッホがあるが、それらの絵には労働者としての誇りのようなものは感じられない。ところがこの絵の中の労働者は、自分自身と自分の労働とを誇りに思っているように伝わってくる。そこには、社会のあり方についてのムンクの姿勢が反映しているのだろうと思う。 (1912年 カンバスに油彩 161×195.5cm オスロ ムンク美術館) |
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