壺齋散人の美術批評 |
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愛の調べ:ヴァトーのロココ世界 |
![]() 「愛の調べ(La gamme d'amour)」と題するこの作品は、田園を背景に人物の優雅な仕草を描くというヴァトー得意のモチーフである。木の根株に座った男がギターを弾き、その隣に女が腰を下ろして男の顔を見つめている。女は楽譜らしいものを持っているが、それは小道具としての扱いに過ぎない(あるいは男がその譜面に見入っているという解釈もある)。 男の格好はなぜか、コンメーディア・デッラルテのメズタンに似ている。このメズタンをヴァトーは以前にも複数回描いているから、よほど気に入っていたか、あるいは喜劇一座との腐れ縁があったのかもしれない。 男の背後には誰やらの胸像が垣間見え、その胸像の下には、何人かの人々がくつろいでいる。恋人らしい男女もいれば、赤ン坊も世話をする女もいる。 (1718年頃 カンバスに油彩 51×60㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー) |
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