壺齋散人の美術批評 |
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屏風絵(アヒル・鷺・雉):ボナール |
ボナールは1888年に親しい画家仲間と美術集団「ナビ派」を結成した。メンバーに確固とした共通の画風といったものは指摘されず、それぞれに自分勝手なところがあった。ボナールはそのころジャポニズムの影響を受けていて、歌麿や北斎の画風を取り入れようとしていた。そんなボナールを仲間の連中は、「ジャポニズムのナビ」と呼んだ。 この作品はアヒル・鷺・雉をモチーフにした屏風絵( Paravent Canard, héron et faisan)。赤く染色された綿布の上に、テンペラを用いて着色している。テンペラは壁画によく使われる素材で、耐食性がある。おそらくフランスでは岩絵の具を使うという発想はなかったのであろう。テンペラを代用絵の具につかって、日本画風の雰囲気を演出したのである。 画面の右側から左側にかけて、アヒル・鷺・雉が描かれている。あまり写実的ではない。大きさのバランスにも考慮を払っていない。同じ時期に、得体のしれない禽獣をモチーフにした屏風絵をほかにも作っている。 (1889年 綿布にテンペラ 160×54.5㎝を三面 パリ、オルセー美術館) |
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