壺齋散人の美術批評 |
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クロッケー・パーティ:ボナールの作品解説 |
1890年代半ば、ボナールの絵は暗い画面が多くなる。「クロッケー・パーティ(La partie de croquet)」と題されたこの作品は、1892年のものだが、早くも暗い画面への移行を感じさせる。この暗い時代というべきものは、以後十年近くもつづくことになる。 この絵にはまだ、暗さ一辺倒ではなく、明るさの要素も残っているし、また、ボナールの日本趣味も残っている。その日本趣味の残影が、画面にある程度の明るさをもたらしているのであろう。 クロッケーとはイギリス発祥の球技で、ゲートボールのようなものだ。棒でボールを叩いて飛ばし、ゴールを狙うというものである。この絵では、画面左側に棒を持った男女と、それを見守る男女が描かれ、右手後景に走り回る女性たちが描かれている。その女性たちの白いドレスが画面のハイライト部分となっている。 なお、この作品は「黄昏」という名称でも知られている。 (1892年 カンバスに油彩 130×162㎝ パリ、オルセー美術館) |
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