壺齋散人の美術批評
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オウムを手にした女:ボナールの色彩世界




「オウムを手にした女(La Femme au perroquet condense des visions du Maghreb et de la Côte d'Azur)」と題されたこの絵は、「マグレブとコート・ダジュールのヴィジョンを凝縮する」とあるように、地中海の雰囲気を表現したものなのだろう。オウムを手にした女は、エキゾチックな雰囲気を感じさせるから、北アフリカを想起させるし、背後の青い海は、コート・ダジュールをイメージさせるというつもりか。

ボナールは、1909年にサン・トロペの友人のもとに滞在して以来、地中海の明るい雰囲気が気に入って、毎年出かけるようになった。この絵は、そうした地中海へのボナールのこだわりを表現したものだろう。

全体の基調となっている明るい暖色が、地中海の雰囲気をあらわしている。その暖色の中で、オウムの淡いブルーが強いコントラストを演出している。この絵は、光ではなく、色彩そのもののもつ豊かさが画面を支配している。

(1910年 カンバスに油彩 104×122㎝ 個人蔵)



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