壺齋散人の美術批評 |
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シエスタあるいは夕べ:ボナールの色彩世界 |
「シエスタ」とは、昼食後の昼寝のことだが、この絵では夕べの転寝を意味しているようである。題名に「シエスタあるいは夕べ(La sieste ou soir)」とあるところから、そう解釈される。画面の下部の中ほどに、安楽ベッドに横になった女が描かれ、それを二人の女が見守り、また、遠方の木の陰には別の少女が見つめている。二人の女の傍らには、黒い犬も控えている。まことにのどかな眺めである。 遠景に川が見えるが、おそらくセーヌ川であろう。ボナールは、セーヌ川の下流のヴェルノンに家を構えていたから、この絵の背景は、ヴェルノンの景色なのだろう。昼寝しているのは、内妻のマルトと思われる。他の女性たちの身元はわからない。 モデルの人物たちが画面の下部に寄りすぎているので、構図的には不安定さを感じさせるが、その分、背景をにぎやかに表現している。だからこの絵は、人物を伴った風景画といえる。 (1914年 カンバスに油彩 84×113㎝ ベルン美術館) |
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