壺齋散人の美術批評
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田舎の食堂:ボナールの室内画




「田舎の食堂(La Salle à manger à la campagne)」と題されたこの絵は、1930年の作品「庭に面した食堂」と同じ場面を、やや視線を下げて描いたものである。前作から5年後のものだ。とはいえ、屋外の景色がかなり変わっており、またマルタの位置が左手から右手に入違っている。画面も縦長から横長になっている。

遠景のずっと先に、海のようなものが見える。ル・カネはコート・ダジュールに面した傾斜地沿いの別荘地だというから、実景かもしれない。海があるおかげで、かなりな開放感を感じさせる。その開放感を発散するようにして、マルトが立っている。例によって、マルトの表情はあまり豊かではない。

色彩は、前作より暖色が強調され、全体として鮮やかな印象を与える>

(1935年 カンバスに油彩 127×135㎝ ニューヨーク、グッゲンハイム美術館)



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