壺齋散人の美術批評 |
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悪夢:ドーミエの風刺版画 |
「悪夢(Le Cauchemar)」と題されたこの石版画は、ラマルティーヌとルイ・フィリップの関係を皮肉ったもの。ラマルティーヌはフランス革命の英雄として庶民に人気があった。1930年の七月革命でも指導的な役割を果たした。だが、革命が成功するや、ルイ・フィリップがかれを利用しにかかった。かれを抱きこむことで、自分の権力を強化しようと考えたのだ。 この絵の中のらマルティーヌは、ソファに横たわって夢を見ている。その彼の腹のうえに乗っている巨大な梨はルイ・フィリップをあてこすったものだ。ルイ・フィリップは、しもぶくれの顔つきから「洋梨」というあだ名をつけられていたのだ。そのルイ・フィリップの悪夢を見たというのは、ラマルティーヌの後悔を物語っているというわけであろう。 ソファの背後の壁に一枚の絵がかけられているは、その絵はルイ・フィリップと妥協したラマルティーヌを描いている。 ドーミエはこの絵を通じて、革命を裏切った形のラマルティーヌを批判しているのであろう。また、夢に現れる洋梨は、エロチックなイメージと結びついているといわれる。 (1832年2月 石版画 23.3×4㎝ カリカチュール) |
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