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シャンゼリゼへ!:ドーミエの風刺版画 |
「シャンゼリゼへ!( Aux Champs-Elisee)」と題されたこの石版画も、「観閲の日」と同じく、ラタポアールらナポレオン派の策動を批判した作品。これは、仕込み杖をたくさん抱えたラアポアールが、シャンゼリゼ大通りに向かう群衆に対して、仕込み杖で大統領官邸を警護しようと呼びかけている様子を描くとされる。 じつは、仕込み杖のイメージは、フローベールが六月蜂起のエピソードを「感情教育」のなかで書いていた中に示していた。フローベールは、仕込み杖を持った男を、反革命のシンボルのように描いていたのだったが、ドーミエはこの絵によって、ナポレオンの権威を提示しているわけである。 シルクハットにフロックコートといういでたちは、当時のブルジョワの盛装だった。その盛装にラタポアールを包ませることで、ナポレオンの権力がブルジョワに支えられているということを、ドーミエは示したのだといえる。 (1851年6月 リトグラフ 26.2×21.4㎝ シャリヴァリ) |
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