壺齋散人の美術批評 |
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ダンスの教室:ドガの踊り子群像 |
1873年頃、ドガは知り合いのバリトン歌手ジャン=バティスト・フォールから、踊り子をモチーフにした作品を受注した。上の絵は、1874年の初めごろに完成して引き渡されたもの。その後ドガは、手直しのため買い戻した。その保障として別の作品を提供したようである。 モチーフは、ル・ペルティエ街のオペラ座の稽古場の様子。画面右手で踊り子たちを指導しているのは、当時有名な舞台振付師だったジュール・ペロー。ドガは当初、無名の振付師の後姿を描くつもりだったが、注文者の意向があったのか、わざわざペローを配置した。 画面は、そのペローを囲んで、大勢の踊り子たちが、それぞれ思い思いの仕草をしている様子を描く。ただ一人だけは、真剣な表情で踊っている。(1974年 カンバスに油彩 83.8×79.4㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館) これは「ダンスの教室」の別バージョン。ドガはこの絵を、1873年に描き始めたのだが、完成したのは1876年のはじめころだった。フォールから買い戻した作品をもとに、更に磨き上げたのであろう、前者に比べると、完成度が高い。ペローはほぼ同じ姿で描かれているが、踊り子たちは、かなり違った様子で描かれている。(1876年 カンバスに油彩 85.0×75.0㎝ パリ、オルセー美術館) |
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