壺齋散人の美術批評 |
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ダンスの試験:ドガの踊り子像 |
「ダンスの試験(Examen de danse)」と題されたこの絵は、ダンスの試験に備えて体調や身なりを整える二人の少女の緊張した様子を描く。彼女らの背後にいる二人の中年女は、彼女たちの母親なのだろう。娘たちの緊張ぶりに比較して、母親たちの表情はリラックスして見える。 ドガは、ダンスのレッスンとか試験をテーマにした絵を多く描いた。もっとも有名なのは、1874年の「ダンスの教室」とそのバリエーションだが、この「ダンスの教室」のほうは、少ない人数をモチーフにして、少女の張りつめた感じを描くことで、画面に緊張感を醸し出している。 その緊張感は、床を傾斜させることからも生じている。普通は、床を傾斜させるのは、画面を不安定にするものだが、この場合には、その不安定さが少女たちの緊張感を象徴しているように見える。 (1880年 紙にパステル 62.9×47.0㎝ デンヴァー美術館) |
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