壺齋散人の 美術批評
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自画像:ゴッホの自画像19




1888年10月にゴーギャンがアルルにやって来ると、二人は共同生活を始める。この共同生活はわずか二か月しか続かなかったが、その間に、ゴッホはゴーギャンから肖像画を描いてもらった。キャンバスに向かってひまわりの絵を描いている構図である。その時の自分のことをゴッホは弟への手紙の中で、「とても疲れていて、電気を帯びたようだった」と書いている。

この自画像は1888年の11月から12月にかけて描いたものだから、ゴーギャンに肖像を描いてもらってからいくらもたっていない。それでもゴッホは、「あの頃からすれば、ぼくの顔はずっと明るくなった」といっている。

たしかにこの絵の中のゴッホは、ゴーギャンの絵の中のゴッホよりもずっと若々しく見える。ゴッホは感情の起伏の激しい人間だったから、ときどきの感情に従って、表情が暗くなったり明るくなったりしたのだろう。

(1888年11-12月、キャンバスに油彩、46.0×38.0cm、ニューヨーク、個人蔵)





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