壺齋散人の 美術批評
HOME ブログ本館 | 東京を描く 水彩画 日本の美術 プロフィール 掲示板


デルフォイの馭者:ギリシャ美術




デルフォイから出土したブロンズ像「デルフォイの馭者」は、「ポセイドン像」と並んで、厳格様式の傑作である。シシリアのギリシャ人植民都市ゲラの君主ポリザロスが、カルタゴ軍との戦いに勝利した記念に、デルフォイの神域に奉納したものである。ポセイドン像の奉納と同年のことだったと言われる。

像は、二頭立ての馬車(戦車)を操る若者(戦士)を表現している。若者は、馬を操る鞭を持ち、自分自身は両足を揃えてすっくと立っている。一見したところでは、馬車に乗っているような躍動感はうかがえないが、よく見ると、戦いに臨む緊張感は伝わって来る。



これは、若者の頭部を拡大したもの。その張り詰めた表情には、アルカイック時代のおおらかさは消え、厳粛な雰囲気が漂っている。この厳粛さが、厳格様式の最大の特徴といってよい。(デルフォイ美術館蔵)




HOME ギリシャ美術次へ









作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2011-2019
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである