壺齋散人の 美術批評 |
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ロロット:モディリアーニの肖像画 |
ロロットとはモデルになった女性の名前。どんな素性の女性であったかは、わからない。別のタイトルを「帽子をかぶった女の頭」というように、黒い帽子をかぶり、小首をすこし傾げてこちらの方を見つめている。様式的なところの強いモディリアーニの絵の中でも、顔立ちや雰囲気に個性を強く感じさせる描き方である。 これ以前の絵に比較すると、輪郭線を意識的にぼかしていることがわかる。これ以前の長い三角形の鼻にかわり、鼻筋を不明瞭にして小さな鼻先だけを強調している点、顎のところの輪郭をぼかしている点、首の輪郭を曖昧にしている点、などがこの絵の特徴である。ぱっちりと大きく見開いた眼は、この絵のチャームポイントにもなっている。 後期のモディリアーニの絵には、首と顔とをわざと違った角度にしているという特徴があるが、この絵にはその萌芽的な傾向が伺われる。おそらく過渡期の試行錯誤の成果なのかもしれない。 (1916年、キャンバスに油彩、58×35cm、パリ、国立近代美術館) |
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