壺齋散人の 美術批評 |
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日傘のリーズ:ルノワールの世界 |
ルノワールは、1864年のサロンに入選した後、引き続きサロンでの成功を目指して、1866年と翌年に二年続けて出展したが、いずれも落選した。それでもあきらめず出展を続けたところ、1868年のサロンには、再び入選した。「日傘のリーズ(Lise à l'ombrelle)」と題したこの作品がそれである。 この作品は大きな話題を呼んだ。美術批評家の中には、これを、前々年のサロンで話題をさらったモネの作品「クロード・カミーユ」と比較するものが多かった。どちらもほぼ等身大の女性を描いており、動きを感じさせるポーズをとっている。色の使い方も、暗い背景から人物を浮かび上がらせるよう工夫されているが、モネに比べると、ルノワールのこの絵は、コントラストにやや曖昧なところがある。特に、傘の陰にはいった形の頭部が、背景とのコントラストが弱まり、その分衣装の白が強烈に浮かび上がって見える。 いずれにせよ、この作品は好評で、自然主義の傑作だという評価が高かった。ルノワールとしては、自然主義を意識していたというよりは、アングルやドラクロアを意識していたのではなかったか。 この作品が、モネと関連付けて評価されたこともあって、ルノワールはますます、モネを中心とした印象派のグループと深く結びつくようになる。実際ルノワールは、個人的にもモネとの付き合いを深めていくのである。 なお、この絵のモデルとなったリーズ・トレオは、当時のモネの愛人だった女性で、この他にも多くの作品のモデルをつとめている。 (1867年 カンバスに油彩 184×115㎝ エッセン、フォルクワンク美術館) |
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