壺齋散人の美術批評 |
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気恥ずかしい申し出:ヴァトーのロココ世界 |
「気恥ずかしい申し出(La Proposition embarrassante)」と題するこの作品は、ヴァトーの雅宴図の初期の傑作。雅宴図の定石通り、野外で宴会服を着た人々が、思い思いにピクニック気分に耽っている場面を描いている。 この画面には、五人の男女がいて、右手には男が女に向かってなにやら話しかけながら、手を差し出している。握手を求めているのか、あるいは贈り物をするつもりなのか、よくは分からない。しかし彼らの表情は真剣である。 一方、左手には三人の男女が地面に腰を下ろしてなにやらひそひそ話に興じている。右側の二人の噂話をしているのだろうか。 X線調査の結果、画面にはもともと四人の男女が描かれていたという。その一部を塗りつぶして、このような構図に変えたわけだ。もとの絵では、左側に二人の男女がすわり、女のほうがギターを弾いているところを描いていたという。 (1716年 カンバスに油彩 65.0×84.5㎝ サンクトペテルブルグ、エルミタージュ美術館) |
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