壺齋散人の美術批評 |
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ヴィーナスの勝利:ブーシェのロココ世界 |
![]() 「ヴィーナスの勝利(Le Triomphe de Vénus)」と題するこの作品は、ブーシェの最高傑作と呼ぶべきもの。かれはこれを1740年のサロンに出展した。その後、スウェーデンの駐仏大使で美術収集家だったカール・テッシンに買い取られ、更にスウェーデンの国家予算で買い取られた。テッシンが発注したとの説もある。 モチーフは、海で生まれたヴィーナスが、陸上に凱旋する光景。凱旋といっても戦いのイメージはなく、美と愛とを称えるといったものだ。画面のほぼ中央部に、ヴィーナスが岩の上に座った姿で描かれ、彼女のまわりに、戦士たちやニンフたち、更にはキューピッドたちが取り囲んでいる。 画面上部にヒラヒラと舞い上がっている極彩色の布が、どんな意味をあらわしているのかよくわからない。神話に題材をとっているとはいえ、神話を忠実に再現することよりも、女性たちの豊満な肉体美や優雅な雰囲気を表現することろに主眼があるように思える。 ![]() これは、ヴィーナスがいるあたりを拡大したもの。ヴィーナスもそうだが、手前の女性たちの豊満な肉体美が印象的である。 (1740年 カンバスに油彩 130×162㎝ ストックホルム、国立美術館) |
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