壺齋散人の美術批評 |
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ヴィーナスの化粧:ブーシェのロココ世界 |
「ヴィーナスの化粧(La Toilette de Vénus)」は、かつてポンパドゥール夫人の浴室兼化粧室の壁を飾っていた。「水浴のディアナ」もその部屋に一緒に飾られてあったという。この絵は、三人のキューピッドを従えたヴィーナスをモチーフにしている。ヴィーナスは、ブーシェ得意のモチーフで、繰り返し手がけている。 キューピッドたちは、ビーナスの髪を繕ったり、化粧道具のようなものを差し出したり、あるいは自分の遊びに夢中になったりしている。これらのキューピッドがいなければ、ブーシェ本来の豊満な女性美を感じさせるだけであろう。 ヴィーナスは胸に白鳩のようなものを抱いているが、その存在を気にかけている様子はない。あくまで自分自身の美しさに耽溺しているといった風情だ。 背景には、重厚なカーテンごしに、庭園の光景が見える。その様子は、暗い色調であっさりと表現され、モチーフが浮かび上がって見えるように工夫されている。 (1751年 カンバスに油彩 107×84㎝ ニューヨーク、メトロポリタン美術館) |
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